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防衛費が増額されると言ったって。 [ニュース]

防衛費が激増しているが、日本の国防について少し。

21世紀目前の1999年3月24日6時7分、日本政府は北朝鮮に拉致された日本人を乗せた不審船の追跡を断念する。

その二日前。海上自衛隊のイージス艦「みょうこう」は「特定電波を発信した北朝鮮の不審船を発見せよ」との命令を受ける。北朝鮮の不審船とはようするに、日本人を拉致している北朝鮮の工作母船のこと。

艦長ののちの回想では、「武器使用の訓練は受けているが、乗り移って人質を奪還するなんていう訓練はしていない。不審船には自爆装置が装備されているはずで、最終的には全滅することは分かっていた」と。それでも「国民の生命と財産を守る」という理念のもと、全滅覚悟で待機していたが、出撃の直前に停止命令が出る。みょうこうの乗員は拉致された日本人が乗っている工作船が北朝鮮に猛スピードで戻っていくのをただ見ていることしかできなかった。

横田めぐみさんが拉致されたのは1977年。拉致被害者の「家族会」、そして全国の研究者で立ち上げられた「救う会」の発足が1998年。この事件が1999年。この20年以上もの間、拉致は続けられていて、自衛隊にはそれを阻止する手立てがなく、目の前で取り逃がしてという国防の在り方があった。この「能登半島沖不審船事案」をきっかけに、海上自衛隊内に特殊部隊「特別警備隊」の創設が決まり、同じころ経緯は違うが、陸上自衛隊にも特殊部隊「特殊作戦群」が出来る。

というような話を知らずに生きてきた。

現状どの程度機能している部隊になっているのか知るすべもないが、社会福祉士の試験勉強中は読むことを止めていた月刊「致知」の2021年7月号の元陸上自衛隊の新谷卓さんと元海上自衛隊の伊藤祐靖さんの対談を最近読んで、何も知らないというのは本当に罪だなと感じている。お二人の話の中で、優秀だけど人質救出部隊には向かない性格とか、地位や名誉を目的に生きている人間には命を投げ出してもという人質救出作戦には向かないとか、欲しいのはプレイヤーじゃなくて、ルールメイカーなんだという話は現場の話としてとても勉強になる。ただ、自衛官の目の前で日本人が誘拐されていったという事実は大きい。それまでの自衛隊には国は守れなかったということを、なぜ知らずに生きてきたのか。ニュースに興味がなかっただけなのか、報道されてなかったのか。2010年の中国漁船が海上保安庁の巡視船に体当たりしてきた「尖閣諸島中国漁船衝突事件」では、中国人船長他乗組員を逮捕するも、処分保留で釈放というニュースは覚えている。

現状武力では守れそうにないこの日本国の国民は、どこに向かって進めば最善なのだろうか。ミサイルをたくさん買うことだとはとても思えない。それにしても、国民一人一人が向かって行くべき指針、国としての夢が一つも示されないまま何十年も来ているように感じているのは私だけなのか。オリンピックでもアベノミクスでもない。もっと40年50年先の夢を語りたい。夢のある国作りに参加したいし、是非させて欲しいと思って生きている。しかし現実は、「皆さんそうしておられます」という国民性の中で、国全体としての目的や目標がないからなのか、義よりも利に拠って生きることが正しいとされる今の個人主義や資本主義の世の中で、へんてこな事件が目に付く。詐欺、強盗、殺人、無理心中みたいなストーカー犯罪。スマホを見て視線を落としていれば、目の前で起きていることに気が付かなくて楽だとでも思っていそうな人たちを毎日電車の中、街の中でたくさん見かけるにつれ、どうしたものかと悩む日々である。宮台さんの「適切に絶望する」という言葉を噛みしめながら、無視することだけはしないようにと、必死に思考している毎日である。

「国の未来」というこのたった四文字の夢を大きな声で語りたいものである。


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